最高裁判所第三小法廷 昭和40(あ)2101 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人寺迫忠之の上告趣意は、事実誤認、単なる法令違反、量刑不当の主張であ
つて、刑訴法四〇五条の上告理由に当らない。
記録を調べても、所論強姦の点を含め、第一審判決判示事実は優にこれを認める
ことができ、同判決を維持した原判決に事実誤認はない。所論指摘のA作成にかか
る鑑定書は、被害者の子宮腔内について精液の有無を調べたものではなく、同じく
B作成にかかる鑑定書には、論旨主張のように、被害者の膣内から精液、精子が検
出されなかつた旨の記載があるけれども、同鑑定書によれば、「但し膣壁自体が火
熱作用を受けてその上皮は高度に膨化しており、従つて精液があつたとしても火熱
の影響のため検出できないおそれが多分にあるものと考えられる。」というのであ
るから、右検出が不能であつたからといつて、直ちに被告人の自供が虚偽であるこ
とにはならない。
ところで本件各事実の犯情は、それぞれ好ましくないものであるが、その中でも、
第一審判決判示第四の(一)、(二)、の犯行は、被告人が、前夜の借金のことで
知人を難詰しようとその家を訪ねたところ、知人が留守で、その内妻からも借金を
断られたため、現金を強奪し、これを取り返そうとした同女に暴力をふるつて気絶
させるや、にわかに劣情を催して同女を強姦し、さらに犯行の発覚をふせぐため同
女の首を堅く縛つて殺害したうえ、時計も奪い取り、同家に放火して同女の死体も
ろとも焼いたというものであつて、原判決が説示するように、残虐きわまる犯行で
あり、その社会的影響も大きく、被告人にはすでに高度の反社会的性格が認められ
る。したがつて、所論被告人にとり有利な事情を斟酌し、慎重に刑の量定につき検
討してみても、原判決が、被告人を死刑に処した第一審判決を是認したことは、ま
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ことにやむを得ないものというべく、これを不当として原判決を破棄しなければ著
しく正義に反するものとはとうてい認めがたいのである。
その他記録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。
よつて、同四一四条、三九六条、一八一条一項但書により、裁判官全員一致の意
見で、主文のとおり判決する。
検察官 横井大三公判出席
昭和四一年五月三一日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 五 鬼 上 堅 磐
裁判官 横 田 正 俊
裁判官 柏 原 語 六
裁判官 田 中 二 郎
裁判官 下 村 三 郎
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